ラボグロウンダイヤモンドを購入すると、多くの場合「IGI鑑定書」という一枚の書類が付いてきます。なんとなく見方は分かるけれど、詳しくはわかっていない。そんな方も多いのではないでしょうか。
この記事では、東京・御徒町でジュエリーOEM製造を手がけるGIA鑑定士資格を持つスタッフが、IGI鑑定書を上から順に、すべての項目について読み方を解説します。読み終わる頃には、手元の鑑定書から「このダイヤモンドがどんな石なのか」をご自身で読み取れるようになります。
この記事の内容
- 1. IGI鑑定書とは──「鑑定書」と「鑑別書」の違い
- 2. 鑑定書の全体像──6つのブロックに分けて読む
- 3. ①基本情報──レポート番号・形状・寸法
- 4. ②GRADING RESULTS──4Cグレードと「Ideal」の正体
- 5. ③追加情報──研磨・対称性・蛍光性・刻印
- 6. ④COMMENTS──ラボグロウンで最も重要な欄
- 7. ⑤PROPORTIONS──輝きを決める数値
- 8. ⑥CLARITY CHARACTERISTICS──内包物の位置図
- 9. 鑑定書が本物かを確認する3つの方法
- 10. 実例:1.00ct・D・VS1のレポートを読み解く
- 11. nos jewelryのダイヤモンドと鑑定書について
- 12. まとめ
1. IGI鑑定書とは──「鑑定書」と「鑑別書」の違い
IGI(International Gemological Institute/国際宝石学会)は、1975年にベルギー・アントワープで設立された宝石鑑定機関です。アントワープは古くからダイヤモンド取引の中心地として知られる街で、IGIは現在、世界各国に研究所を構えています。とくにラボグロウンダイヤモンドのグレーディングにおいて、世界で最も広く使われている機関のひとつです。
ここで、日本のジュエリー業界でよく混同される2つの書類の違いを整理しておきます。
| 比較項目 | 鑑定書(グレーディングレポート) | 鑑別書(アイデンティフィケーション) |
|---|---|---|
| 目的 | 品質(4C)を評価し等級をつける | その石が何なのかを特定する |
| 対象 | ダイヤモンドのみ | すべての宝石 |
| 分かること | カラット・カラー・クラリティ・カット | 石の種類、天然か合成か、処理の有無 |
| 別の呼び方 | グレーディングレポート | 鑑別・ソーティング |
IGIがラボグロウンダイヤモンドに発行するレポートの正式名称は「LABORATORY GROWN DIAMOND REPORT」。この一枚は、上の表でいう鑑定書と鑑別書の両方の役割を担っています。「この石はラボグロウンダイヤモンドである」という アイデンティフィケーションの情報と、「4Cはこの等級である」というグレーディングの情報が、同じ書類に記載されているためです。
最初に見るべきはここ
レポート最上部のタイトルが「LABORATORY GROWN DIAMOND REPORT」であれば、そのレポートはラボグロウンダイヤモンドのものです。天然ダイヤモンドの場合はタイトル自体が異なります。つまり書類の一行目を見るだけで、天然かラボグロウンかが分かるようになっています。
2. 鑑定書の全体像──6つのブロックに分けて読む
こちらが実際のIGIレポートです。1枚のなかに情報が詰め込まれていますが、6つのブロックに分けて考えると一気に読みやすくなります。
それぞれのブロックに書かれている内容は、次のとおりです。
-
① 基本情報
発行日/IGI Report Number(レポート番号)/Description(石の種別)/Shape and Cutting Style(形状とカット様式)/Measurements(寸法) -
② GRADING RESULTS
4C。Carat Weight(重量)/Color Grade(カラー)/Clarity Grade(クラリティ)/Cut Grade(カット) -
③ ADDITIONAL GRADING INFORMATION
Polish(研磨)/Symmetry(対称性)/Fluorescence(蛍光性)/Inscription(s)(刻印) -
④ Comments
成長方法(HPHT法・CVD法)/後処理の有無(As Grown)/ダイヤモンドタイプ -
⑤ PROPORTIONS
石を横から見た断面図。テーブル率・クラウン角・ガードル厚・パビリオン角・トータルデプス率・キューレット -
⑥ CLARITY CHARACTERISTICS
上下から見た2つの円に、内包物と外部特徴の位置を記した図。KEY TO SYMBOLSがその凡例
このほかレポート右側には、グレード早見表(GRADING SCALES)、刻印の参考画像、ホログラムやQRコードなどのセキュリティ領域が配置されています(上図の破線部分)。
※ ブロックの区切りは解説のために引いたものです。レポートの版によって配置が異なる場合があります。以降、この①〜⑥の順に読み方を解説します。
3. ①基本情報──レポート番号・形状・寸法
レポートの一番上、グレードが並ぶ前のブロックです。「この書類がどの石のものか」を特定するための情報が入っています。
| 英語表記 | 日本語 | 読み方のポイント |
|---|---|---|
| (日付) | 発行日 | グレーディングを行った日。石が作られた日でも、購入日でもありません |
| IGI Report Number | レポート番号 | 石とレポートを結びつける唯一の鍵。LGで始まる番号はLaboratory Grown(ラボグロウン)を意味します |
| Description | 石の種別 | 「LABORATORY GROWN DIAMOND」=ラボグロウンダイヤモンド。ここが天然かラボグロウンかの明示です |
| Shape and Cutting Style | 形状とカット様式 | 「ROUND BRILLIANT」=ラウンドブリリアントカット。オーバル、ペアシェイプなどはここに記載されます |
| Measurements | 寸法(mm) | ラウンドは「最小直径 − 最大直径 × 高さ」。2つの直径の差が小さいほど真円に近い |
ここで見落とされがちなのがMeasurements(寸法)です。同じ1.00ctでも、直径が大きいものと小さいものがあります。カットが深すぎると重さの割に上から見たときの面積が小さくなり、「カラット数のわりに小さく見える」石になります。カラット数は重さであって、見た目の大きさではない——これは鑑定書を読むうえで最も実用的な知識のひとつです。
ラウンドブリリアントの場合、2つの直径の差が大きいほど真円から歪んでいることを意味します。0.05mm程度までの差であれば、肉眼で歪みを感じることはまずありません。
4. ②GRADING RESULTS──4Cグレードと「Ideal」の正体
鑑定書の中心となるブロックです。ダイヤモンドの品質を表す4C——Carat(重さ)、Color(色)、Clarity(透明度)、Cut(研磨の美しさ)が並びます。
Carat Weight(カラット重量)
ダイヤモンドの重さです。1カラット=0.2グラム。IGIのレポートでは小数点第2位まで表記されます。前述のとおり、これは「重さ」であって「大きさ」ではありません。見た目の大きさを知りたいときは、必ずMeasurementsの直径と合わせて確認してください。
Color Grade(カラーグレード)
無色に近いほど高評価。D(無色)から始まり、Z(明確な黄色味)に向かって下がっていくスケールです。レポート右下の「COLOR」欄がそのまま目盛りになっています。
| グレード | 区分 | 見え方 |
|---|---|---|
| D・E・F | カラーレス(無色) | 黄色味を感じない、最も透明感のある領域 |
| G・H・I・J | ニアカラーレス(ほぼ無色) | 単体で見れば無色に見えるが、比較するとわずかに色を感じる |
| K〜M | Faint(かすかな黄色) | わずかな色味が分かる |
| N〜R | Very Light(非常に淡い黄色) | 色味がはっきり分かる |
| S〜Z | Light(淡い黄色) | 明らかな黄色味 |
IGIのレポートでは、D〜Jまでは1文字ずつ、K以降は「Faint」「Very Light」「Light」とまとめて印字されています。例えば婚約指輪で使われるダイヤモンドではD〜Jの範囲が用いられることが一般的です。 ラボグロウンダイヤモンドにおいてはほとんど全てのダイヤモンドがD〜Jに該当します。
Clarity Grade(クラリティグレード)
内包物(インクルージョン)の少なさを示すグレードです。10倍のルーペで見たときにどれだけ見つけにくいかを基準に判定されます。
| グレード | 正式名称 | 内包物の見え方 |
|---|---|---|
| IF | Internally Flawless | 10倍ルーペで内部に特徴が見られない |
| VVS1・VVS2 | Very Very Slightly Included | 10倍ルーペでも発見が非常に困難 |
| VS1・VS2 | Very Slightly Included | 10倍ルーペで発見が困難。肉眼ではまず見えない |
| SI1・SI2 | Slightly Included | 10倍ルーペで比較的容易に発見できる |
| I1・I2・I3 | Included | 肉眼でも確認できる場合がある |
実務的な目安として、VS以上であれば肉眼で内包物が見えることはほぼありません。一方でSI以下になると、位置によっては見える場合が出てきます。
細かいけれど知っておきたいこと
IGIのラボグロウンダイヤモンドレポートに印字されているクラリティの目盛りは、最上位がIF(Internally Flawless)から始まります。天然ダイヤモンドの評価で使われる最高位の FL(Flawless)は、この目盛りには含まれていません。FLは内部にも表面にも一切の特徴がない極めて稀な等級で、レポート上の実用的な最高位はIFと考えて差し支えありません。
Cut Grade(カットグレード)
4Cのなかで唯一、人の手によって決まる要素です。カラット・カラー・クラリティが石そのものの性質であるのに対し、カットは職人がどう研磨したかの結果。だからこそ、輝きに最も直結します。
グレードは上から Ideal / Excellent / Very Good / Good / Fair / Poor の6段階です。最上位のIdealについては、このセクションの後半で詳しく扱います。
ここから、日本語の情報ではあまり整理されていない2つの論点を補足します。
「Idealカット」はExcellentのさらに上
ラボグロウンダイヤモンドを探していると「Idealカット」という言葉を目にします。IGIの鑑定書では、これはCut Grade欄にそのまま「IDEAL」と印字される最上位のカットグレードです。
つまりIGIのカットグレードは、上から IDEAL / EXCELLENT / VERY GOOD / GOOD / FAIR / POOR。手元の鑑定書のCut Grade欄が「EXCELLENT」なら、その1段上にIDEALがあることになります。
では何が違うのか。IGIが公開しているCut-Grade Chartを見ると、最上位に入るのは中央の最も狭いプロポーション帯に収まった石だけだと分かります。条件は次のとおりです。
| 項目 | 最上位帯の条件 |
|---|---|
| トータルデプス率 | 58.5 〜 62.5% |
| テーブル率 | 53 〜 60% |
| クラウン高さ率 | 13 〜 16.5% |
| クラウン角 | 33° 〜 36° |
| ガードル厚 | Thin 〜 Slightly Thick(最大4.2%) |
| パビリオン深さ率 | 42 〜 44% |
| パビリオン角 | 40.0° 〜 41.3° |
| ポリッシュ/シンメトリー | 最低でも Very Good / Very Good |
このほか、フィッシュアイ(テーブルからガードルが輪状に映り込む現象)がある石は最高でもFair、ガードルの厚みの振れ幅は1グレード(2%差)を超えないこと、という条件も付きます。
ここで押さえておきたいのは、EXCELLENTと判定される範囲にはそれなりの幅があるということです。上の表の帯から少し外れてもEXCELLENTにはなります。IDEALは、そのなかでもプロポーションが狭い範囲に収まっていることの目印になります。
手元の鑑定書での見分け方
Cut Grade欄を見てください。 「IDEAL」ならIGIの最上位、「EXCELLENT」はその1段下です。どちらも十分に高い評価ですが、プロポーションの揃い方まで求めるならIDEALが基準になります。
同じグレードでも輝きに差が出るのはなぜか
IGI自身が「同じカットグレードでも光学特性は異なる」と述べており、そのためにLight Performance Reportという別のレポートを用意しています。ラウンドブリリアントのプロポーションをレイトレーシングで解析し、光の戻りを総合スコア(Light Performance)と内訳(Brightness/Fire/Contrast)で数値化するもので、Moderate → High → Superior → Exceptional の4段階で示されます。ポリッシュ・シンメトリー・プロポーションのいずれかがVery Good未満の石は対象外です。グレードの先まで見極めたい場合の手がかりになります。
ファンシーシェイプのカット評価は、鑑定機関によって扱いが違う
オーバル、ペアシェイプ、マーキース、エメラルドカットなど、ラウンド以外の形をファンシーシェイプと呼びます。このカット評価については、鑑定機関によって扱いがまったく異なります。ここは誤解の多いところです。
| 形状 | IGI | GIA |
|---|---|---|
| ラウンドブリリアント | Ideal〜Poor | Excellent〜Poor |
| ファンシーシェイプ | 制度としてはExcellent〜Poorで評価あり (任意オプション・実際にはほぼ付かない) |
カットグレードなし(研磨と対称性のみ) |
| 今後の予定 | 9シェイプの基準値を公開済み | 2027年にマーキース・オーバル・ペアの3形状から導入予定 |
GIAは、カットグレードを与えるのは面の構成が標準化されているラウンドブリリアントだけだという立場です。ファンシーシェイプの鑑定書にはPolishとSymmetryしか記載されません。ただしGIAは2027年に、まずマーキース・オーバル・ペアの3形状からカットグレードを導入する予定を公表しています(2006年のラウンド用システム導入以来、長年取り組んできたものだと説明しています)。
IGIはファンシーシェイプにもExcellent〜Poorのカットグレードを付与しています。ただしこれは任意のオプションで、依頼があった場合に評価されます。そのため、IGIのファンシーシェイプのレポートでもカットグレードが載っていないものは珍しくありません。「IGIはファンシーシェイプを評価しない」という説明が広まっているのは、このためだと思われます。Polish(研磨)・Symmetry(対称性)・Light Return(光の戻り)の3要素を総合したもので、ペア/オーバル/マーキース/プリンセス/エメラルド/スクエアエメラルド/クッション/ハート/ラディアントの各シェイプについて、Excellentと判定するためのL/W比・テーブル率・クラウン角・パビリオン角などの基準値を公開しています。
したがって、「オーバルのカットグレードがExcellent」という表記は、IGIの鑑定書であれば成立します。「ファンシーシェイプにカットグレードは存在しない」という説明はGIA基準の話です。
ただし実務では、ほとんど付いていません
ファンシーシェイプにカットグレードを付けるには追加の鑑定料がかかります。ところがラボグロウンダイヤモンドの場合、その鑑定料が石そのものの価格を上回ってしまうことが珍しくありません。制度としては存在しても費用が見合わないため、実際に依頼されることはほとんどないのが現状です。
ですからラボグロウンのファンシーシェイプを検討する際は、カットグレードの記載を期待せず、PolishとSymmetry、そしてプロポーションの数値を手がかりに判断することになります。
5. ③追加情報──研磨・対称性・蛍光性・刻印
「ADDITIONAL GRADING INFORMATION」という見出しの下に4項目が並びます。
Polish(ポリッシュ/研磨状態)
研磨面の仕上がりの滑らかさです。研磨の跡や微細な傷がないほど高評価。Excellent〜Poorの5段階で評価されます。表面が滑らかであるほど、光が乱れずに反射します。
Symmetry(シンメトリー/対称性)
ファセット(研磨面)の配置がどれだけ正確に対称かを示します。同じくExcellent〜Poorの5段階。対称性が崩れると、光が均等に返ってこなくなります。
3EX(トリプルエクセレント)とは
Cut Grade・Polish・Symmetryの3つがすべてExcellentである状態を、業界では「3EX(トリプルエクセレント)」と呼びます。鑑定書のなかで、この3行がすべてEXCELLENTになっているかどうかを見れば、輝きに関わる研磨品質を一目で判断できます。
なおIdealはCut Gradeだけに使われる評価で、PolishとSymmetryはExcellentが最上位です。カットがIdealの石は、3EXよりさらに上の評価ということになります。
Fluorescence(フローレッセンス/蛍光性)
紫外線を当てたときに石が発光する性質のことです。None(なし)/Faint(弱い)/Medium(中程度)/Strong(強い)/Very Strong(非常に強い)で評価されます。
蛍光性そのものは欠点ではありません。ただし蛍光が強い石は、屋外の日光下などで白っぽく濁って見える(オイリーに見える)場合があり、その分だけ取引価格が下がる傾向があります。Noneと記載されていれば、こうした心配は不要です。
Inscription(s)(インスクリプション/刻印)
ダイヤモンドのガードル(石の一番太い部分の側面)にレーザーで刻まれた文字列です。肉眼では見えず、10倍以上のルーペや顕微鏡で確認します。
通常はIGIのロゴとレポート番号が刻まれており、この刻印とレポート番号が一致するかどうかが、「この鑑定書はこの石のものである」ことを確かめる最も確実な方法です。IGIのレポートには刻印部分を拡大した参考画像も掲載されています(「Sample Image Used」=実物写真ではなくイメージ画像である旨の注記が添えられます)。
6. ④COMMENTS──ラボグロウンで最も重要な欄
ここがラボグロウンダイヤモンドの鑑定書ならではの、そして最も読み解きが必要な欄です。天然ダイヤモンドの鑑定書にはない情報が書かれています。よく登場する3つの記載を解説します。
「As Grown - No indication of post-growth treatment.」
直訳すると「成長したそのまま──成長後の処理の痕跡なし」。結晶を育てた後に、色や透明度を改善するための追加処理を行っていないという意味です。
ダイヤモンドは、天然なのかラボグロウンを問わず、成長させた後にHPHT処理や放射線照射によって色味を改善することがあります。これ自体は昔からよく使われている手法ですが、処理の有無は価値に影響します。As Grown=素のままの状態でこのグレードに達しているということであり、鑑定書のなかで確認しておきたいポイントです。処理が施されている場合は、この欄にその旨が明記されます。 特に天然ダイヤモンドにおいては、トリートメント処理の有無で本当に値段が大きく変わりうるので留意が必要です。
「created by High Pressure High Temperature (HPHT) growth process」
結晶の成長方法です。ラボグロウンダイヤモンドの製法は主に2種類あり、鑑定書にはどちらで作られたかが記載されます。
- HPHT法(High Pressure High Temperature/高温高圧法)──地球内部の環境を再現し、高温・高圧下で炭素を結晶化させる方法
- CVD法(Chemical Vapor Deposition/化学気相蒸着法)──真空チャンバー内で炭素を含むガスをプラズマ化し、種結晶の上に炭素原子を積み上げていく方法
混同しやすい「2つのHPHT」
「HPHT」という言葉は、①結晶を育てる成長方法としてのHPHTと、②成長後に色を改善する後処理としてのHPHT処理の、2つの意味で使われます。まったく別のものです。今回の例のように「HPHT growth process で作られた」かつ「As Grown(後処理なし)」という記載は矛盾していません。HPHT法で育てられ、その後は何も手を加えていないという意味になります。
なお、HPHT法とCVD法に優劣はありません。どちらの方法で成長させても、できあがるのは化学組成・結晶構造ともに天然と同一の本物のダイヤモンドです。
「Type II」(ダイヤモンドタイプ)
ダイヤモンドは、結晶内に含まれる窒素の有無によって大きく2つのタイプに分類されます。
| タイプ | 特徴 | 天然での割合の目安 |
|---|---|---|
| Type I | 窒素を含む。窒素は黄色味の原因になる | 天然ダイヤモンドの大半 |
| Type II | 窒素をほとんど含まない高純度タイプ | ごく少数(希少) |
| Type IIa | Type IIのうち、窒素もホウ素も含まないもっとも純粋な種類 | とくに希少 |
天然ダイヤモンドではType IIは希少ですが、ラボグロウンダイヤモンドは不純物の混入を管理できるため、Type IIが安定して得られます。鑑定書に「Type II」と記載されていることは、それだけ純度の高い結晶であることを示しています。
7. ⑤PROPORTIONS──輝きを決める数値
石を横から見た断面図に、数値が書き込まれた図です。ここに並ぶ数字が、Cut Gradeの判定根拠になっています。それぞれの意味を上から順に見ていきます。
| 図中の位置 | 項目 | 意味 |
|---|---|---|
| 上部の横幅 | テーブル率 | 最上面の平らな面(テーブル)の直径 ÷ 石全体の直径。光の入口の広さ |
| 左上の縦幅 | クラウン高さ率 | 上半分(クラウン部)の高さの割合。虹色の輝き(ファイア)に影響 |
| 右上の角度 | クラウン角 | クラウン部の傾斜角度(度) |
| 中央の帯 | ガードル厚 | 石の一番太い部分の厚み。Thin/Medium/Slightly Thick/Thickなどで表記。「Faceted」は面取り研磨されている状態 |
| 左下の縦幅 | パビリオン深さ率 | 下半分(パビリオン部)の深さの割合 |
| 右下の角度 | パビリオン角 | パビリオン部の傾斜角度(度)。光を反射して戻す働きを担う重要な数値 |
| 右端の縦幅 | トータルデプス率 | 石全体の高さ ÷ 平均直径。深すぎても浅すぎても光が抜けやすくなる |
| 最下部 | キューレット | 底の先端の処理。Pointed=尖っている(キューレット面なし)。大きいと真上から見たとき中心に穴のように見えることがある |
ラウンドブリリアントカットの一般的な目安として、テーブル率はおおむね53〜60%前後、トータルデプス率は59〜63%前後に収まっているものが多く見られます。とはいえ、これらの数値を一つずつ検証する必要はありません。Cut Gradeは、これらの数値を総合的に評価した結論そのものだからです。
正直にお伝えしておきたいこと
グレーディングの判定基準は鑑定機関ごとに完全に同一ではなく、各鑑定機関で差が生じます。同じ石でも、機関が違えばグレードが前後することは往々に生じます。だからこそ、複数の石を比較検討するときは「どの機関が発行した鑑定書か」を検討することが大切です。
8. ⑥CLARITY CHARACTERISTICS──内包物の位置図
円が2つ並んだ図です。左が石を上から見た図(クラウン側)、右が下から見た図(パビリオン側)で、そこに小さな記号が描き込まれています。この記号が、その石が持つ内包物や表面の特徴の位置を示しています。
| 記号の色 | 英語表記 | 意味 |
|---|---|---|
| 赤 | Internal characteristics | 内部特徴(インクルージョン)。石の内側にある特徴 |
| 緑 | External characteristics | 外部特徴(ブレミッシュ)。表面にある研磨跡や小さな傷など |
この凡例は、図の下の「KEY TO SYMBOLS」欄に必ず記載されています。
読み方のポイントは「数」よりも「位置」です。同じクラリティグレードでも、内包物がテーブル(真上の平らな面)の直下にある石と、ガードル寄りの端にある石とでは、見え方の印象が変わります。端にあるものは、ジュエリーに留めたときに爪で隠れることもあります。
図の大きさ
この図の記号は位置を分かりやすく示すために誇張して描かれています。VSやVVSクラスであれば、実物は10倍のルーペで探してようやく見つかる大きさです。「鑑定書に印がたくさん付いていた」と不安になる必要はありません。
内包物の配置は石ごとに異なります。この図は、いわばそのダイヤモンドの指紋です。刻印とあわせて、個体を識別するための情報としても機能します。
9. 鑑定書が本物かを確認する3つの方法
鑑定書は「石の身分証明書」です。その書類自体が本物か、そして手元の石と本当に対応しているのかを確かめる方法が用意されています。
方法1:IGI公式サイトでレポート番号を照合する
レポート上部には「Report verification at igi.org」と明記されています。IGI公式サイト(igi.org)のレポート検索に、レポート番号を入力すると、登録されているグレーディング内容が表示されます。手元の書類の記載と一致すれば、そのレポートは実在するものです。
方法2:QRコードを読み取る
レポート下部にはQRコードが印刷されています。スマートフォンで読み取れば、番号を手入力せずに照合ページへアクセスできます。
方法3:ガードルの刻印とレポート番号を照合する
最も重要なのがこれです。方法1と2は「レポートが実在するか」の確認にすぎません。手元の石とそのレポートが対応しているかを確かめられるのは、ガードルの刻印だけです。10倍以上のルーペで石の側面を見て、刻まれた番号がレポート番号と一致するかを確認します。
さらに、IGIのレポート用紙自体にもセキュリティが施されています。レポート下部には「SPECIAL DOCUMENT PAPER, INK SCREENS, WATERMARK」(特殊用紙・インクスクリーン・透かし)といった対策が講じられている旨が記載されており、ホログラムシールも貼付されています。
中古品・リセール品を検討するときは
刻印とレポート番号が一致しない場合、その鑑定書は「別の石のもの」である可能性があります。中古のダイヤモンドジュエリーを検討する際は、鑑定書の有無だけでなく、刻印との照合まで行えるかどうかを確認することをおすすめします。
10. 実例:1.00ct・D・VS1のレポートを読み解く
ここまでの内容を、冒頭に掲載したレポートで確認してみましょう。1.00ctのラボグロウンダイヤモンドの記載内容を、項目ごとに読み解いていきます。
| 項目 | 記載内容 | 読み解き |
|---|---|---|
| Description | LABORATORY GROWN DIAMOND | ラボグロウンダイヤモンド |
| Shape and Cutting Style | ROUND BRILLIANT | ラウンドブリリアントカット。Cut Gradeが付く形状 |
| Measurements | 6.41 − 6.45 × 3.87 mm | 直径の差は0.04mm。ほぼ真円。1.00ctの標準的な直径 |
| Carat Weight | 1.00 CARAT | 1カラット=0.2g |
| Color Grade | D | スケール最上位。完全な無色(カラーレス) |
| Clarity Grade | VS1 | 10倍ルーペで発見が困難なレベル。肉眼では見えない |
| Cut Grade | EXCELLENT | 6段階の上から2番目。最上位のIDEALではないが十分に高い評価 |
| Polish / Symmetry | EXCELLENT / EXCELLENT | Cut Gradeと合わせて3EX(トリプルエクセレント) |
| Fluorescence | NONE | 蛍光性なし。日光下で白濁して見える心配がない |
| Inscription(s) | IGI+レポート番号 | ガードルの刻印。レポート番号と照合できる |
| Comments | As Grown / HPHT growth / Type II | 後処理なし・HPHT法で成長・窒素をほぼ含まない高純度 |
| Proportions | テーブル59%/クラウン角33.6°/パビリオン角40.2°/デプス60.1%/キューレットPointed | いずれもラウンドブリリアントとして標準的な範囲 |
この一枚から読み取れることをまとめると、「後処理を施していないHPHT法のラボグロウンダイヤモンドで、色は最高位のD、透明度はVS1、研磨品質は3EX、蛍光性なし」となります。ここまで読めれば、その石がどんなダイヤモンドなのかを、販売店の説明に頼らずご自身で把握できます。
鑑定書を読むときの順番としては、①Description(何の石か)→ ②GRADING RESULTS(4C)→ ③Comments(処理の有無と成長方法)→ ④刻印との照合という流れで見ていくのが効率的です。
11. nos jewelryのダイヤモンドと鑑定書について
最後に、nos jewelryでの品質基準と鑑定書の扱いについてご説明します。
センターストーンの品質基準
nos jewelryでは、センターストーンに使用するラボグロウンダイヤモンドについて、以下を基準としています。
| 項目 | nos jewelryの基準 |
|---|---|
| Color(カラー) | F以上(カラーレスの範囲) |
| Clarity(クラリティ) | VVS以上 |
| Cut(カット) | Excellent(ラウンドブリリアントカットのみ) |
この記事の実例(クラリティVS1)よりも、さらに一段上の基準です。なおカットの「ラウンドブリリアントカットのみ」は、nos jewelryがセンターストーンにラウンドブリリアントを採用しているという意味であり、ファンシーシェイプが評価できないという意味ではありません。加えて、GIA鑑定士資格を持つスタッフが一粒ずつ実物を確認しています。とくにピアスのようにダイヤモンドをペアで使うジュエリーでは、グレードが同じでも色味や輝き方に個体差が出るため、目視で組み合わせを揃えています。
鑑定書はオプションでご用意しています
nos jewelryでは、ラボグロウンダイヤモンドの鑑定に関しては、IGI発行の鑑定書をオプション(3,300円)としてご用意しています。鑑定書を標準添付にせず選択制にすることで、その分を販売価格の低減に充てています。鑑定書の有無にかかわらず、すべてのダイヤモンドは上記の基準で品質確認済みです。
ご注文のタイミングにご注意ください
鑑定書はダイヤモンドをジュエリーにセッティングする前に取得する必要があります。セッティング後は石を取り外さないと鑑定に出せないためです。鑑定書をご希望の場合は、ジュエリーのご注文と同時、もしくはできるだけ早いタイミングでのご購入をお願いいたします。
なお、ラボグロウンダイヤモンド以外の商品で鑑定書をご希望の場合は個別にご案内しております。ご購入前にお問い合わせよりご連絡ください。
12. まとめ
IGI鑑定書は、英語で書かれているだけで、内容そのものは決して難解なものではありません。見るべき場所と順番さえ分かれば、一枚の紙からそのダイヤモンドの素性をほぼすべて読み取ることができます。
- タイトルとDescriptionで、天然かラボグロウンかを確認する
- GRADING RESULTSで4C(カラット・カラー・クラリティ・カット)を読む
- Polish・SymmetryがCut Gradeと揃ってExcellentなら3EX
- Cut Grade欄の最上位はIDEAL。EXCELLENTはその1段下
- Comments欄で「As Grown(後処理なし)」と成長方法(HPHT/CVD)を確認する
- Measurementsで、カラット数ではなく実際の直径を把握する
- 刻印とレポート番号の照合で、石と書類が対応していることを確かめる
鑑定書が読めるようになると、ジュエリーの選び方そのものが変わります。「Dカラーだから良い」ではなく、「自分にとってどのグレードが必要か」を判断できるようになるからです。予算を輝きに直結するカットへ振り分ける、あるいは肉眼で差の出ないクラリティを一段下げてカラット数を上げる——そうした納得のいく選択ができるようになります。
nos jewelryは、ジュエリーOEMメーカーとして培ってきた製造ノウハウとGIA鑑定士の目利きを活かし、品質と価格の両面で安心してお選びいただけるラボグロウンダイヤモンドジュエリーをお届けします。鑑定書の内容についてご不明な点があれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。
よくある質問
Q. IGI鑑定書とGIA鑑定書は何が違いますか?
A. どちらも国際的に認められた宝石鑑定機関が発行する鑑定書です。IGI(International Gemological Institute)は1975年ベルギー・アントワープ設立で、ラボグロウンダイヤモンドのグレーディングで世界的に広く使われています。GIA(米国宝石学会)は4Cの評価基準を確立した機関です。評価項目はほぼ共通ですが、判定の厳しさには機関ごとに差があると言われるため、複数の石を比較する際は同じ機関の鑑定書どうしで比べることをおすすめします。
Q. 鑑定書がないダイヤモンドは品質が劣るのですか?
A. いいえ、鑑定書の有無と品質は別の問題です。鑑定書は第三者機関による評価を書面化したもので、取得には別途費用がかかります。nos jewelryでは鑑定書をオプション(3,300円)とし、その分を販売価格の低減に充てています。鑑定書の有無にかかわらず、すべてのダイヤモンドはColor F以上・Clarity VVS以上・Cut Excellentの基準で、GIA鑑定士資格を持つスタッフが確認しています。
Q. 鑑定書の「As Grown」とはどういう意味ですか?
A. 「成長したそのままの状態」という意味で、結晶を成長させた後に色や透明度を改善するための後処理を行っていないことを示します。ラボグロウンダイヤモンドは成長後にHPHT処理や放射線照射で色味を改善する場合がありますが、「As Grown - No indication of post-growth treatment」と記載されていれば、そうした処理の痕跡がないことを意味します。
Q. 「HPHT法で成長」なのに「後処理なし」というのは矛盾しませんか?
A. 矛盾しません。HPHTという言葉は「①結晶を育てる成長方法」と「②成長後に色を改善する後処理」の2つの意味で使われますが、両者はまったく別のものです。「created by HPHT growth process」かつ「As Grown」という記載は、HPHT法で結晶を育て、その後は何も手を加えていないという意味になります。
Q. 鑑定書が本物かどうかはどう確認できますか?
A. 3つの方法があります。①IGI公式サイト(igi.org)のレポート検索にレポート番号を入力して照合する、②レポート下部のQRコードを読み取る、③ダイヤモンドのガードル(側面)に刻まれたレーザー刻印を10倍以上のルーペで確認し、レポート番号と一致するか照合する。①と②はレポートが実在するかの確認であり、手元の石とレポートが対応しているかを確かめられるのは③の刻印照合だけです。
Q. 鑑定書はジュエリーを購入した後からでも発行してもらえますか?
A. 鑑定書はダイヤモンドをジュエリーにセッティングする前に取得する必要があります。セッティング後は石を取り外さないと鑑定に出せないためです。nos jewelryで鑑定書をご希望の場合は、ジュエリーのご注文と同時、もしくはできるだけ早いタイミングでオプションをご購入ください。
Q. 「Idealカット」はExcellentより上のグレードですか?
A. はい。IGIの鑑定書ではCut Grade欄に「IDEAL」と印字され、これが最上位のカットグレードです。上から IDEAL / EXCELLENT / VERY GOOD / GOOD / FAIR / POOR の順で、お手元の鑑定書が「EXCELLENT」であれば、その1段上にIDEALがあることになります。IGIが公開しているCut-Grade Chartによると、最上位に入るのは中央の最も狭いプロポーション帯(トータルデプス58.5〜62.5%、テーブル53〜60%、クラウン角33〜36°、パビリオン角40.0〜41.3°、ポリッシュ・シンメトリーは最低でもVery Goodなど)に収まった石だけです。EXCELLENTと判定される範囲にはそれなりの幅があるため、プロポーションの揃い方まで求める場合はIDEALが目印になります。
Q. オーバルやペアシェイプにもカットグレードは付きますか?
A. 制度としてはIGIがファンシーシェイプもExcellent〜Poorで評価していますが、実際の鑑定書にはほとんど付いていません。カットグレードを付けるには追加の鑑定料がかかり、ラボグロウンダイヤモンドの場合その費用が石そのものの価格を上回ってしまうことが珍しくないためです。したがってラボグロウンのファンシーシェイプでは、カットグレードの記載を期待せず、Polish(研磨)とSymmetry(対称性)、そしてプロポーションの数値を手がかりに判断することになります。なおGIAはカットグレードを与えるのがラウンドブリリアントのみで、2027年にマーキース・オーバル・ペアの3形状から導入する予定を公表しています。
Q. カラット数が同じなら、大きさも同じですか?
A. いいえ。カラットは重さの単位(1カラット=0.2グラム)であり、見た目の大きさではありません。カットが深い石は重さの割に上から見た面積が小さくなります。実際の大きさを知りたい場合は、鑑定書のMeasurements(寸法)に記載された直径を確認してください。ラウンドブリリアントの1.00ctであれば、直径6.4mm前後が標準的です。
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Color F以上・Clarity VVS以上・Cut Excellent。GIA鑑定士が厳選したダイヤモンドを、メーカー直営の適正価格でお届けします。
商品一覧を見る参考資料
本記事のグレード基準や数値は、以下の各機関の公開資料に基づいています(いずれも英語)。
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IGI|Diamond Grading Process
カットグレーディングの手順。ページ内の「See the Cut Grade Chart」から、本記事で引用したCut-Grade Chart(PDF)を入手できます -
IGI|Diamond Cut Grading
ラウンドブリリアントとファンシーシェイプ、それぞれの評価方法。ファンシーシェイプ用のガイドライン(PDF)もこちらから -
IGI|Diamond Cut(4Cs)
消費者向けのカット解説 -
GIA|Diamond Cut
GIAがカットグレードを付与する対象範囲について -
GIA|Gems & Gemology 2024年秋号
オーバル・ペア・マーキースの観察研究。ファンシーシェイプのカット評価に向けたGIAの研究論文 -
Rapaport|GIA to Launch Cut Grade for Select Fancy Shapes in 2027
2026年6月14日。GIAが業界紙に出した、2027年のカットグレード導入に関する声明
※ 記載内容は2026年9月時点の公開情報に基づきます。とくにGIAのファンシーシェイプ向けカットグレードは導入予定の段階であり、時期や対象形状が変更される可能性があります。
